『日本ソムリエ協会教本2016年版』のトカイワインに関する記述が酷いので日本ソムリエ協会に間違っている箇所を報告しました。
9月27日に『日本ソムリエ協会教本2016年版』のカルヴァドスの蒸留器の記述が間違っていることを報告したのですが返答がまだありません。今年の認定試験問題にも使われた重要な箇所だと思いますが、ホームページに訂正は載らないのでしょうか?
協会がソムリエやワインエキスパートの知識として必要だと思っているから教本に載っているのでしょうし、試験に出される項目はソムリエやワインエキスパートとして知っていて当然という位置付けになる特に重要な知識だと思いますが……。
また、『日本ソムリエ協会教本2016年版』のトカイ・ヘジャリヤ地方の説明に幾つか間違いがあるので報告します。
『日本ソムリエ協会教本2016年版』 p.358 にトカイ・ヘジャリヤとありますが、現在はトカイと名が変わり、保護された原産地名称(OEM)として認められています。
以下のページが参考になると思います。http://net.jogtar.hu/jr/gen/hjegy_doc.cgi?docid=A0900127.FVM
トカイ・ヘジャリヤの栽培面積が1999年版教本から 6,500 ha のままですが、新しいデータに変更するか、変更しないのであれば何年のデータかを明示したほうが良いと思います。(2016年版教本しか持っていない人は2013年のデータだと勘違いすると思うので……。)
[トカイワインの品質区分と残糖分]一覧表でサモロドニの最低残糖分が辛口、甘口共 30 g/l 以上になっていますが、辛口の残留糖分量は 9 g/l 以下、甘口は 45 g/l 以上です。
表にある、5プットニョシュ、6プットニョシュ、アスーエッセンシアと言う表示はなくなり、アスーの残留糖分量は 120 g/l 以上になります。
http://boraszat.kormany.hu/tokaj にトカイの仕様書があるので確認してみてください。
表ではマーショラーシュが辛口、フォルディターシュが甘口になっていますが、それぞれ辛口・甘口が認められています。
ソーヴィニヨン・ブランとオットネル・ムシュコターイは「主な品種」とするには栽培面積が小さ過ぎるように思います。
法的には「トカイ・ナトゥールエッセンシア」は存在しないと思います。(生産者や流通業者等でナトゥールエッセンシアと言う表現を使っていたこともあるようですが……。)
エッセンシアの残留糖分量は1997年の法で 450 g/l 以上と定義されていますが、以前は 250 g/l 以上だったようです。
サモロドニの説明に「ふつう貴腐菌の付着しなかった粒から造られる。」と書かれていますが、貴腐化した粒と貴腐化していない粒を選り分けないことを「自然のままに=サモロドニ」と言っているで、サモロドニは貴腐ワインのカテゴリーに入ると思います。
サモロドニは以下のように定義されています。Aszúsodott és egészséges szőlőszemekből előállított bor, amelyet legalább két éven keresztül érleltek (egy évig hordóban).
アスーの説明に「多かれ少なかれ貴腐菌の付着したブドウの粒を選別し」と書かれていますが、アスーになるのはしっかり貴腐化した果粒だけだと思います。
「プットニュと呼ばれる26kg入りの背負い桶」と書かれていますが、26 kg 入りではなく 27.2 l 入りだと思います。
樽の名称が Genci になっていますが、Gönci Hordó (Gönci) の間違いだと思います。
アスーエッセンシアは廃止されましたが、アスーエッセンシアの規定に「桶の添加杯数が7〜8プットニョシュであれば可能」と言う規定はありませんでした。
マーシュラーシュの説明に「アスー、または次のフォルディ夕ーシュ用ワインの搾り滓に、マストないしはワインを注ぎ、再発酵、熟成させたもの」と書かれていますが、マーシュラーシュは以下のように定義されているので、教本の説明は間違いになると思います。
Bor, amely úgy készül, hogy bort öntenek az ugyanabból a szüretből származó tokaji aszú seprőjére és amelyet legalább két évig érlelnek (egy évig hordóban).
また、フォルディターシュの説明には「アスー用ワインの二番搾りの果汁にマストを加えて再発酵、熟成させたワイン」と書かれていますが、フォルディターシュは以下のように定義されています。
Bor, amely úgy készül, hogy bort öntenek az ugyanabból a szüretből származó préselt aszúpépre, és amelyet legalább két évig érlelnek (egy évig hordóban).
参考ページ : 「問題番号57番」の間違いについての返答がまだありません。
posted 2016-10-12
posted by katabami