ワインエキスパートに教わるワイン入門

バッサン・ヴィティコルの歴史

フランスで Bassin viticole という地域区分が創られた経緯と、いつから使われているのかを調べてください。

背景――なぜ「バッサン・ヴィティコル(bassin viticole)」が必要になったのか

2000年代初め、フランスのワイン産業は ①国内外での消費減少 ②輸出市場での競争激化 ③カテゴリーが複雑すぎて消費者が選びにくい――という三つの危機要因に直面しました。2004年7月、当時の農業大臣エルヴェ・ゲマールが「フランスぶどう・ワイン部門改革」(réforme de la filière viti-vinicole)を打ち出し、従来の産地名称や行政区分を超えて、産地をいくつかの大きな生産・経済単位ごとにまとめて課題を議論する枠組みを提案しました。この考え方が、のちに「バッサン・ヴィティコル」制度として具体化していく出発点になります。

制度化までの流れ(2004–2006)

整備・恒久化(2008 年以降)

現在の位置づけ

今日でも10 バッサンは、

  1. 新しいAOC/IGPの審議
  2. 植栽許可・抜根補助等の生産規制の調整
  3. 市場動向・輸出戦略の共有

――といったテーマを、地域内の生産者・商社・行政が一体で議論する公式の「中間レベル」として機能しています。

バッサン・ヴィティコルによる地域区分がワインサイトで使われないのは何故ですか?

バッサン・ヴィティコルがウェブ上のワイン情報でほとんど見かけない主な理由

1. そもそもの目的が「行政・業界調整」で、消費者向けではない

2. マーケティング上の「語りにくさ」

10のバッサン・ヴィティコルを載せておきます。

Bassin viticole

バッサン・ヴィティコルの再構成はあるのでしょうか?現実的には現状のまま内部で調整するということに今後もなるのでしょうか?

今後も「10 バッサン制」を前提に、部会レベルで微調整する公算が高い理由

  1. 行政ツールとしての完成度が既に高い
    • 植栽許可、再植栽補助、危機在庫調整といった主要施策は、2024 年度の運用指針でもすべて bassin viticole 単位で数値目標を設定しています。申請様式にも「バッサンコード」が必須項目として残り、制度面では“10 区分”が深く組み込まれたままです。
  2. 「内部分科会」で実質的な分割は済んでいる
    • ローヌ-プロヴァンスなど異質性の大きいバッサンでは、2014 年から territorial councils(部会)が別々に設けられ、植栽上限や危機対策を個別に決議したうえで本会議で束ねる方式が定着しています。制度上の“10”を動かさなくても、現場は柔軟に運営できる仕組みが既にあるため、関係者の緊急度は高くありません。
  3. 財政配分の再計算という重い宿題
    • EU PAC(共通農業政策)の交付金枠はバッサン別に按分されています。境界を変えると 2023-27 期に確定済みの分配比率を組み直す必要があり、農水省は「次期 PAC 改定(2028 年スタート見込み)までは大幅な地図替えは現実的でない」と繰り返し答弁しています。