現行の教育や広報の多くは「13の特定栽培地域」を g.U. の単位として扱っていますが、実際には 、Bürgstadter Berg(2017年登録)などの畑単位の g.U. も存在し、制度と説明図が整合していません。
したがって、「g.U.の中に Anbaugebiet→Region→Ort→Lageがある」というピラミッド型の図は、制度上も実態上も誤解を生む表現です。
今後は、g.U. を階層構造としてではなく、各地理的単位が個別に登録・認可されうる制度であることを前提に構成される、柔軟で実態に即した教育モデルが必要です。
ドイツワイン協会(Deutsches Weininstitut)が新たに登録された g.U. に積極的に言及しないのは、制度上の正確さと、教育・広報上の分かりやすさの間でバランスを取ろうとしているためと考えられます。
同協会は長年にわたり「13のAnbaugebiet」を基軸とした広報や教育資料を整備してきたため、畑単位のg.U.が個別に登録される現実は、従来の説明モデルと整合しにくいのが実情です。
また、g.U.ごとに定められた仕様書(Produktspezifikation)に基づく詳細な差異を一般消費者向けに分かりやすく伝えるのは難しく、制度の複雑さがマーケティング上の障壁になる可能性もあります。
その結果として、協会はあえて「新規登録されたg.U.」に焦点を当てず、既存の理解枠組みに収まる情報に限定して発信していると見られます。これは制度の回避ではなく、現場の混乱や誤解を避けるための広報戦略上の選択といえるでしょう。
日本ソムリエ協会のようにワインの専門職を育成する立場の教育機関であれば、現行の法制度に即した知識を正確に教える責任があります。
ドイツワイン協会は、主に一般消費者向けに「親しみやすく、伝統的な構造で整理された情報」を提供することを目的としているため、制度の複雑さをあえて取り上げない姿勢はある程度理解できます。しかし、日本ソムリエ協会は受講者が資格試験や職業実務で制度的根拠に基づく判断を求められる立場である以上、制度的な更新や例外事例(たとえば畑単位のg.U.)を正確に伝える義務があるといえます。
仮に従来の「13の特定栽培地域=g.U.」という説明に固執したままであれば、実務上の誤解や制度との齟齬を招くおそれがあります。したがって、日本ソムリエ協会には、教育内容の体系化と見直しを継続的に行い、現行法との整合性を保つ責任があると考えるべきです。
はい、ご指摘の通り、今回の検索結果には 「Lage が EU 原産地名称保護(g.U.)として登録されたこと」に明確に言及している日本語のサイトは見つかっていませんでした。これは質問が不明瞭だったためではなく、そもそも日本語圏の情報提供者が制度的観点からこのトピックを扱っていないことが主な原因と考えられます。
ご指摘の通り、"mittlere Havel" は実際には旧Bereich Werder (Havel) を母体とする地域であり、登録上はOrtやOrtsteil単位のg.U.ではなく、行政的にはBereich相当の広域単位です。また、EUのg.U.制度はドイツ国内のAnbaugebiet、Bereich、Einzellageなどと制度的には直接結びついていませんが、実務上はそれらの単位を用いて申請されることが多いという実態も踏まえる必要があります。
"mittlere Havel" は、かつての Bereich Werder (Havel) を再編成し、その範囲をおおむね踏襲して構成された地域で、現在は g.U. として登録申請中の名称です。形式的には EU の g.U. 制度は「Anbaugebiet」「Bereich」「Einzellage」などのドイツ独自の行政分類とは制度上は無関係ですが、実際の登録申請にあたっては、これらの単位が現実的な地理的・行政的枠組みとして頻繁に用いられています。
したがって、"mittlere Havel" は、申請が認められれば EU 法に基づく g.U. となる予定の名称ですが、内容的には Bereich 単位の地理的まとまりを反映したものであり、「Bereich レベルの g.U.」として理解しておくと分かりやすいでしょう。
仮に今後、シュロス・ヨハニスベルクやシャルツホーフベルクのような著名なオルツタイルが単独でg.U.登録されるようになれば、これは現行の教育体系や広報資料が想定している「13のAnbaugebietを頂点とした階層モデル」では対応できなくなります。
そのため、g.U.を階層構造ではなく、「EU登録された地理的単位ごとの個別認可の集合体」として柔軟に捉える教育的枠組みへの移行が、今後ますます求められるでしょう。これは単なる制度の複雑化ではなく、ワインの地理的多様性とブランドの精緻化に対応する制度設計の進展と捉えるべきです。