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PDOワインでも「ヴィニフェラ×他種の交配品種」が認められた経緯

PDOワインでも「ヴィニフェラ×他種の交配品種」が認められた経緯を調べてください。

経緯を時系列で整理

現在の実務的ハードル

  1. 品種リストへの格付け
    • 交配品種は各加盟国が Article 81 に基づく「栽培品種リスト」に追加しなければ商業栽培できない。
  2. PDO 仕様書改訂プロセス
    • 生産者団体→加盟国→欧州委員会の三段階審査が必要で、改訂には 1〜2 年を要する。
  3. 市場と消費者認知
    • ラベル上の品種表示ルールは従来どおりだが、PDO に交配品種が含まれる場合でも従来型のテロワール・イメージをどう維持するかが議論されている。

フランスの AOC でも雑種が補助的に認められるようになりましたが、EU の法改正と連動していたのですか?

フランスAOCで雑種(PIWIなど)が補助的に認められるようになった仕組み

EU 本則の改正とフランス国内制度の二段重ね

  1. フランス国内の受け皿:VIFA 制度(2018〜)
    • INAO は2018年に VIFA(Variétés d’Intérêt à Fin d’Adaptation) を創設。
      • 各AOCが最大10品種(色別)を 実験目的で 取り込み可
      • 1生産者当たり植栽面積5%・ブレンド10%上限
    • もともと「気候変動適応の実証枠」として設けられた制度ですが、2021/2117 の改正で PDO に交配品種が明示的に認められたことにより、VIFA で試験中の品種を将来 AOC の正式品種として位置付ける道筋が、EU 法との整合性のうえでもはっきりしました。
  2. EU 規則2021/2117による転換
    • 2021年12月公布の Reg.(EU) 2021/2117 は共通市場機構(OCM)条項を改正し、PDO に使用できるブドウは Vitis vinifera または vinifera×他種 の交配品種であると明示しました(Art. 93(1)(a)(v))。これにより「PDO=純ヴィニフェラ」という従来の前提が正式に解除され、加盟国が AOC/PDO の仕様書の中で交配品種を正面から位置付けることが可能になりました。
  3. 先行事例:シャンパーニュでの Voltis 採用(2022)
    • シャンパーニュコトー・シャンプノワ各AOCは 2022 年の「製品仕様書」改訂で Voltis(PIWI)を「VIFA 枠」で追加。
      • 面積上限5%、ブレンド上限10%、10年間の試験扱い。
      • INAO 議決時の資料には「2023年から適用される欧州規則に先駆けて」と明記され、改正EU法との連動がはっきり示されています。
    • 2023年時点でシャンパーニュ全体の Voltis 植栽面積はおよそ 5 ha と報告され、その後2024年には約 6〜7 ha、2025 年の初収穫時点でも 10 ha 未満にとどまっています。ブラインド試験では 5〜10%程度をブレンドした試作キュヴェが好意的に評価されたと報告されており、今後の本格導入に向けたデータ収集中です。
  4. 他AOCの動き

結論

現状ではフランスの VIFA 制度で適応目的品種(cépage à fin d'adaptation)として認可されているのは耐暑性のある品種が多くなっていますが、これからPIWI品種が増えていくのでしょうか?

いまの VIFA に PIWI が少ない理由

  1. 制度の成立経緯
    • 2018 年に INAO が創設した VIFA(Variétés d’Intérêt à Fin d’Adaptation)は、「気候変動に対する“適応”を目的とした試験枠」で、最初の焦点は早熟化・乾燥・高温への耐性でした。そのためシリア、トゥリガ・ナシオナル、アルヴァリーニョなど地中海・大西洋沿岸のヴィニフェラ系品種が多数選ばれ、PIWI は少数派となりました
  2. EU 法がようやく後押し
    • 2021 年の規則 2021/2117 改正で Vinifera×他種 交配が PDO に正式解禁され、PIWI を「実験」ではなく AOC 品種として明記できる道が開きました。これが VIFA にも直接波及しています。
  3. 面積・比率制限
    • VIFA は「1生産者 5 %、アッサンブラージュ 10 %、10年間試験」という強い枠を伴うため、リスクの少ない耐暑性ヴィニフェラが先に選ばれやすかったという事情があります。

既に動き始めた PIWI 採用

産地(AOC) 採用 PIWI(例) 年度 備考
Champagne Voltis 2022 初の AOC 仕様書入り PIWI
Bordeaux, Bordeaux supérieur Floréal, Vidoc, Artaban, Sauvignac 2022-23 VIFA 枠で植栽開始(2020年代半ばにかけて初ヴィンテージ登場見込み)
Côtes du Rhône Floréal, Vidoc 2024
Côtes de Provence Souvignier Gris, Sauvignac, Floréal 2024

これから PIWI は増えるのか

まとめ

  1. 当初は耐暑ヴィニフェラが中心だった VIFA だが、EU 法改正と農薬削減目標に背中を押されて PIWI の候補・試験面積は着実に増加している。
  2. 2025〜27年ごろが一つの転換期になる可能性が高く、恒久リスト入りや ODG 申請の結果しだいでは、VIFA 登録品種の中で PIWI が大きな比率を占めるシナリオも十分想定される。
  3. 市場定着の鍵 は消費者への説明と苗木供給体制であり、官能評価や実需の蓄積次第では、PIWI を前面に出した AOC ワインが 2030 年代初頭に目に見えるボリュームで流通し始める可能性があります。

グリーンディールとは

グリーンディールと「Farm to Fork」戦略の位置付け

欧州グリーンディールは2050年までの気候中立達成を目指す包括的政策パッケージで、その農業分野の柱が「Farm to Fork(F2F)戦略」です。F2F は食品チェーン全体の環境負荷低減を掲げ、農薬使用量や化学肥料の抑制、温室効果ガス排出削減を具体目標にしています。

ワイン用ブドウ栽培においても、これらの目標は「耐病性品種の導入による農薬散布回数削減」「気候変動適応力の高い品種開発」などの技術的ソリューションを促しており、ひいてはブドウ品種多様化への政策的後押しにつながっています。

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