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2026年ヴィンテージから義務化される新しいドイツワイン法

2026年ヴィンテージから義務化される新しいドイツワイン法というのは、ワイン規則の「§ 39」と「§ 42 Absatz 2」のことですか?

移行期間の対象条文と義務化の時期

新§ 39 全文を訳してください。

新§39《地理的表示》全文和訳

(ワイン法 §24 Abs. 2・3 第4号・第5号および §54 Abs. 1 との関連)

(1) 表示要件
品質ワイン、プレディカーツワイン、原産地保護付きスパークリングワイン(Sekt b.A.)、原産地保護付きクオリティーリキュールワインまたは原産地保護付きクオリティーパールワインを表示する際に、EU食品表示規則(EU)第1169/2011第8条第1項により流通時の責任を負う食品事業者が次の地理名称を用いる場合は、以下の条件を満たさなければならない。

  1. ベライヒ(Bereich)又はグロースラーゲ(Großlage)の名称
    • 「Region」という語を、同一の色・書体・文字サイズで直前に明示し、容易に判読でき、かつ消えにくい形で付すこと。
  2. ゲマインデ(Gemeinde)又はオルツタイル(Ortsteil)の名称
    • ぶどう果汁(モスト)または果醪(マイシェ)は、発酵可能な容器内でカビネットに規定された自然アルコール度の最低値以上でなければならない。
    • 当該ワインは、使用ぶどうの収穫年の12月15日以前に最終消費者へ販売してはならない。
  3. アインツェルラーゲ(Einzellage)又はワイン法 §23 Abs. 1 Nr. 2 に定義されるより小さい地理単位の名称
    • 名称の直前又は直後に、同一の色・書体・文字サイズで、容易に判読でき、かつ消えにくい形でゲマインデ又はオルツタイル名を表示し、その文字高さは 1.2 mm 以上でなければならない。
    • 当該ワインは、使用ぶどうの収穫年の翌年3月1日以前に最終消費者へ販売してはならない。
    • 甘味補添加用原料を除き、該当プロダクトスペシフィケーションで定められた1品種または複数品種のみを使用して製造されていなければならない。
    • ぶどう果汁または果醪は、発酵可能な容器内でカビネットに規定された自然アルコール度の最低値以上でなければならない。

各製品のプロダクトスペシフィケーションでは、上記要件より厳格な条件―特にヘクタール当たり収量に関する追加要件―を定めることができる。

(2)[削除]
第二項は改正により削除された。

§ 42 Abs. 2 全文を訳してください。

§42 Absatz 2(品種名表示の禁止)―全文和訳

(ワイン規則〔Weinverordnung〕1995)

(2)2011年収穫年以降のブドウを原料とし、Perlwein、Schaumwein、Qualitätsschaumwein、ならびに脱アルコールワイン及び部分脱アルコールワインを除くワインで、欧州連合規則(EU)第1308/2013第93条第1項a又はbに定める保護原産地呼称(g.U.)又は保護地理的表示(g.g.A.)によって表示されていないものについては、次に掲げるブドウ品種名を表示してはならない。

  1. Blauer Frühburgunder
  2. Blauer Limberger
  3. Blauer Portugieser
  4. Blauer Silvaner
  5. Blauer Spätburgunder
  6. Blauer Trollinger
  7. Dornfelder
  8. Grauer Burgunder
  9. Grüner Silvaner
  10. Müller Thurgau
  11. Müllerrebe
  12. Roter Elbling
  13. Roter Gutedel
  14. Roter Riesling
  15. Roter Traminer
  16. Weißer Burgunder
  17. Weißer Elbling
  18. Weißer Gutedel
  19. Weißer Riesling

この規定は、上記第1号から第19号に掲げるブドウ品種名の同義語(シノニム)にも適用される。

2021年のワイン規則 §39 では「Lage」ではなく「Einzellage」が使われていますが、どうして変更されたのでしょう。

以下に、「Lage」から「Einzellage」への文言変更の背景について、法的・実務的・制度的観点から整理してご説明します。なお、ここで述べる背景は連邦議会資料や業界団体の解説を踏まえたものであり、条文に明示された公式の「理由」ではない仮説段階の整理である点にご留意ください。

1.用語の変遷:Lage → Einzellage

従来(旧 Weinverordnung):
  • 「Lage(畑・ラーゲ)」という語が用いられていました。
  • この語は包括的で、Einzellage(単一畑)や Großlage(集合畑)の両方を指す場合がありました。
  • 表示に関しても、Gemeindename+Lagename の組み合わせでよしとされ、特段「Einzellage」と明示することは求められていませんでした。

2.2021年改正で「Einzellage」に明示変更された理由

背景1:EU法との整合性とPDO表示の明確化
  • ドイツは近年、EUの地理的表示保護制度(PDO = g.U.)との整合性を図るため、地名表示の定義を厳格化しています。
  • EU制度では「原産地の特定性」が重視されるため、曖昧な地名や包括的用語(例:Lage)を排除し、具体的な区画名(Einzellage)での特定が必要とされる傾向にあります。
背景2:旧Großlageや不明瞭なLageの混用を排除するため
  • 過去には「Lage」という表示で、実際にはGroßlage(≒広域で質がばらつく)が使用されていたことも多く、消費者誤認の温床となっていました。
  • そこで2021年改正では、「Lage」というあいまいな語ではなく、「Einzellage」=単一畑に限定した明確な概念を表示要件に盛り込みました。
背景3:品質表示と整合させる目的
  • 「Einzellage」表示には、次のような品質的要件(§39参照)が課されています:
    • 発酵前の最低自然アルコール度(Kabinett相当)
    • 規定されたブドウ品種のみ
    • 翌年3月以降の出荷
  • これらの厳格な条件と整合を取るために、地名表示も「Einzellage」に限定する必要があったと考えられます。

3.技術的・法的な視点からのまとめ

観点 説明
法制度の明確化 EU法(g.U.)に対応し、「曖昧なLage → 明確なEinzellage」への転換
消費者保護 GroßlageとEinzellageの混用による誤認防止
品質保証との整合 特定の表示(例:Einzellage)には、品種やアルコール度などの追加的条件が課されるため
旧制度との断絶 特に旧来の「Großlage」が法令上は存続しつつも、表示上は「Region」として扱われるなど実務・マーケティング上の重要性が相対的に低下する中で、「Einzellage」に焦点を絞る方向性

ワイン法(Weingesetz)とワイン規則(Weinverordnung)の関係を教えてください。

両者の関係概要

項目 内容
ワイン法(Weingesetz) 連邦議会で制定される基本法(枠組み法)。ワインの分類、品質区分、地理的表示の根拠など、大枠の制度を定める。
ワイン規則(Weinverordnung) ワイン法に基づいて連邦政府が定める施行規則(実施細則)。表示方法、分析値、販売条件、移行措置など具体的・技術的要件を定める。

具体例

結論

ワイン法が「骨格」、ワイン規則が「運用の詳細」を定める役割を持ち、両者はセットで理解すべき制度です。ワイン法に委任された事項を具体化するために、ワイン規則が存在します。

「2025年ヴィンテージまで」や「2026年ヴィンテージから」のような、実施や移行期間に関してはワイン規則で定めるのですね。

はい、そのとおりです。
「○年ヴィンテージから適用」や「移行期間」などの実施時期に関する規定は、ドイツでは原則として
→ ワイン規則(Weinverordnung)で定められます。

理由と制度的背景

ワイン法(Weingesetz)
  • 法律として制度の大枠(骨組み)を定める
  • 具体的な施行時期や細則までは通常定めない。
  • 例:地理的表示、品種表示の原則など。
ワイン規則(Weinverordnung)
  • ワイン法の委任に基づき、連邦政府が技術的・運用的な内容を詳細に規定。
  • 特に以下を定める:
    • 実施・施行時期(たとえば「2026年ヴィンテージから」)
    • 経過措置・在庫処理の扱い
    • 旧法との切り替えタイミング

具体例:§54 Weinverordnung(移行規定)

条文 内容
§54 Abs. 16 地理的表示の旧表示(§39)を2025年ヴィンテージまで許容し、そのラベルのワインを在庫が尽きるまで販売可とする規定
§54 Abs. 17 品種名表示の旧ルール(§42 Abs. 2)を2025年ヴィンテージまで適用可とし、そのラベルのワインを在庫が尽きるまで販売可とする経過措置

つまり、「2026年ヴィンテージから義務化」される新制度の開始時期は、ワイン規則が根拠です。

ワイン法(Weingesetz)とワイン規則(Weinverordnung)を一緒にして「ワイン法」というのは、文脈によってはありですか。

はい、文脈によっては「ワイン法(Weingesetz)」という言葉を、ワイン規則(Weinverordnung)を含む広義の意味で使うことはあります。
ただし、それには注意すべき点があります。

あり得るケース:

結論

よって、「文脈によっては“ワイン法”に両方を含めてよいが、引用や根拠の説明では使い分けるのが原則」と理解するのが適切です。

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